フィブラート系薬の違い

「ω‐3脂肪酸」は通常1日 1回で服用するため、1日2~3回服用する必要がある「イコサペント酸」と比べて服用に手間がかからないという利点があります。「ω‐3脂肪酸」や「イコサペント酸」は食後10分内に飲まなければほとんど体内に吸収されないため、飲み忘れのリスクが高い薬です。「ω‐3脂肪酸」は、1日1 回の服用で良いため、比較的ゆっくりと食事ができる夕食後に薬を飲むようにすると、飲み忘れのリスクを下げることができ、忙しい人にとっても使い勝手の良い薬だと言えます。

また、「ω‐3脂肪酸」や「イコサペント酸」は抗血小板作用があるため、出血しやすくなるという副作用があります。そのため、薬の量を増やすには注意が必要ですが、「ω‐3脂肪酸」は通常の2倍量まで、「イコサペント酸」は通常の1.5倍まで増量することが可能です。特に「ω‐3脂肪酸」は通常の2倍量で使っても副作用は増えないことが知られているため、「ω‐3脂肪酸」はより薬の量を増やしやすい薬であると言えます。

「ω‐3脂肪酸」は外国で開発された薬ですが、「イコサペント酸」は日本で開発された薬です。どちらも高脂血症(脂質代謝異常)の治療に効果がありますが、「イコサペント酸」は日本人を対象にした臨床試験のデータが豊富にあります。また、薬の効果は生活習慣や食事、遺伝子など様々な要因で変化することがあるため、日本人の臨床試験データが豊富な「イコサペント酸」はより日本人の治療に適した薬であると言えるでしょう。

先述のように、「ω‐3脂肪酸」や「イコサペント酸」は食後10分以内に飲まなければ、ほぼ効果が得られません。そのため、これらの薬が処方された際には、薬剤師によって、服用のタイミングを逃さないように十分注意喚起される必要があります。仕事などで外食が多い人は1回分の薬を財布に入れて持ち歩くなどして、急な外食の際でも薬を食直後に飲めるよう準備しておくことが必要です。このことも、薬剤師は合わせて患者さんに伝える必要があるでしょう。