尿素窒素

本検査は、腎臓の機能が正常かどうかを検査するものです。まずは尿素窒素ってどんなものなのかお話ししようと思います。食事中のタンパク質や身体の筋肉等のタンパク質が代謝されると、アンモニアになります。このアンモニアは生体にとって有害なため、主に肝臓で代謝され、は 尿素に作り替えられます。血液中の尿素に含まれる窒素の量が尿素窒素になります。言ってみれば、体内でエネルギーとして使われたタンパク質の代謝産物の量だと言えます。通常、尿素窒素は腎臓でろ過されて尿中にに排出されますが、急性・慢性の腎不全なので腎臓の働きが低下してしまうと、ろ過しきれない分が血液中に残ってしまう事になり、尿素窒素の値が高くなるのです。また、タンパク質の摂り過ぎや大量の消化管出血、火傷・外科手術・甲状腺機能亢進症・悪性腫瘍など組織タンパクの分解が亢進している場合、脱水などで体液量が減少している場合にも、尿素窒素は上昇します。尿素窒素と同じく腎臓の排泄機能の指標となるクレアチニンに比べて尿素窒素の値が非常に高い場合には、体液量の異常・組織の崩壊・消化管出血など代謝異常が疑われます。逆に尿素窒素が低い場合、タンパク質の摂取不足が考えられます。また胎児の成長にも窒素が使われますので、妊娠中も尿素窒素は低くなる傾向にあります。その他、尿素のほとんどすべてを作っている肝臓の働きが悪い場合、つまり重症肝障害・肝不全などでも値は低くなります。とはいえ、疾患の有無だけでなく年齢・性別によっても尿素窒素の値は変わってきます。一般的には男性の方が高値なようです。女性は、加齢とともに上昇するのに対して、男性では60歳以上で上昇し始めます。基準値は8~20mg/dlになるます。