ステロイド点鼻薬の違い

フルチカゾン、モメタゾン、デキサメタゾンは全て1日1回のステロイド点鼻薬で、花粉症等の鼻炎に用いられます。フルチカゾンは鼻炎だけでなく眼の症状にも適応があり、モメタゾンは全身作用が少ないため、長期使用が可能です。また、デキサメタゾンは添加物が入っていないため刺激が少なく、鼻の粘膜が過敏な状態でも使えることや、粉末薬のため液垂れの心配がないことが長所です。鼻炎に対するこれらの薬の効果に大きな差はないため、デバイスの使いやすさから選ぶこともありますが、子供の場合は年齢によって使用できる薬が限られることに薬剤師は注意が必要です。フルチカゾンは他のステロイドと比べて受容体への結合力が最大で、そのため鼻・眼反射を介して眼のかゆみや赤み、涙といった眼症状に対して効果があることが知られています。また、点鼻薬がどれくらい鼻以外の場所に作用するのか、という副作用を示す指標として、血中に取り込まれて利用される薬の割合を示すバイオアベイラビリティがあります。点鼻薬のバイオアベイラビリティは総じて低値ですが、モメタゾンは0.2%以下と最も低く、長期使用でも副作用が少ないという特徴があります。デキサメタゾンは保存料や防腐剤を使わない粉末薬です。鼻炎ですでに粘膜が過敏になった状態で使う場合には、こうした添加物が入っていない薬を使うことで、鼻粘膜を刺激して悪化させることなく治療することが可能です。