ステロイド点鼻薬の違い

フルチカゾン、モメタゾン、デキサメタゾンは全て1日1回のステロイド点鼻薬で、花粉症等の鼻炎に用いられます。フルチカゾンは鼻炎だけでなく眼の症状にも適応があり、モメタゾンは全身作用が少ないため、長期使用が可能です。また、デキサメタゾンは添加物が入っていないため刺激が少なく、鼻の粘膜が過敏な状態でも使えることや、粉末薬のため液垂れの心配がないことが長所です。鼻炎に対するこれらの薬の効果に大きな差はないため、デバイスの使いやすさから選ぶこともありますが、子供の場合は年齢によって使用できる薬が限られることに薬剤師は注意が必要です。フルチカゾンは他のステロイドと比べて受容体への結合力が最大で、そのため鼻・眼反射を介して眼のかゆみや赤み、涙といった眼症状に対して効果があることが知られています。また、点鼻薬がどれくらい鼻以外の場所に作用するのか、という副作用を示す指標として、血中に取り込まれて利用される薬の割合を示すバイオアベイラビリティがあります。点鼻薬のバイオアベイラビリティは総じて低値ですが、モメタゾンは0.2%以下と最も低く、長期使用でも副作用が少ないという特徴があります。デキサメタゾンは保存料や防腐剤を使わない粉末薬です。鼻炎ですでに粘膜が過敏になった状態で使う場合には、こうした添加物が入っていない薬を使うことで、鼻粘膜を刺激して悪化させることなく治療することが可能です。

ATLウイルス抗体

成人T細胞白血病(ATL)という病気があります。リンパ球の内のT細胞が腫瘍化した白血病で、主に40代以上の人に多く発症します。日本で初めて発見された白血病がこの成人T細胞白血病(ATL)になります。ATLウイルスの感染が原因で、感染経路は輸血や母乳、性接触などが挙げられます。ATLウイルスの抗体検査は、基本的にHIV検査と同様にスクリーニング検査と確認検査の2段階で行われます。スクリーニング検査では、粒子凝集法、エライザ法・EIA法・CLEA法があり、血清中にHTLV-Ⅰに対する抗体が出来れいないかどうかを確認します。陽性と判定が出たら、ATLウイルスが感染しているという事になり、治療を行っていきます

腫瘍マーカーが基準値内だからといって、がんの存在が完全否定されたというわけではない

ただ、腫瘍マーカーのレベルは慢性肝障害・腎障害・呼吸器の慢性炎症・閉塞性黄疸・高血圧などで上昇する事があるため注意が必要です。この場合、がんに対する治療とは無関係に腫瘍マーカーが一定レベルで高値を示していたり、肝障害・腎障害・炎症・血糖値などの改善と一致して腫瘍マーカーの値が低下していく事で本当のがんによる反応なのかどうかある程度判別する事が出来ます。腫瘍マーカーが基準値を超えたといっても、そのままがんの存在を意味するものではありません。腫瘍マーカーレベルに影響する因子というのは数多くあり、マーカー値の僅かな変動は誤差範囲内という場合もあります。逆に、腫瘍マーカーが基準値内だからといって、がんの存在が完全否定されたというわけではありません。

難聴・中耳炎

今回は耳の病気にスポットを当てて、具体的にどのような病気があるのか、症状や治療について知っていきましょう。耳(外耳・中耳・内耳)の病気においてよくみられる症状は、聴力の低下(難聴)だと言えます。耳垢が充満し、外耳道に栓がされてしまう耳垢塞栓によっても聴力が低下します。中耳の病気として多いものは急性中耳炎や慢性中耳炎があげられるでしょう。前者の急性中耳炎は、耳管を経由して中耳に急性の感染が引き起こされた状態です。小児にしばしば見られます。また、小児では中耳に液体が貯留したままの状態になる進出生中耳炎が起こりやすいのです。鼓膜に孔があいて感染を繰り返す状態になると慢性中耳炎と診断されます。中でも真珠腫生中耳炎というのは中耳を破壊する事で進行していく疾患になります。

アメリカでインフルエンザが流行する理由

アメリカはそもそも医療費が高いのです。診療所によりけりですが、診療費2000ドル以上・処方箋100ドル以上・薬局で50~100ドル・入院1泊で1000ドル(よくホテルのスイートルームに例えられます)・外科手術で相場が5000ドルというように、医療費はかなり高いのです。こういった背景も相まって、病気になっても簡単には病院へ行かない、いや、行けないというのが現状だと言えます。また、仮にインフルエンザの疑いがあったとしても、基本的に予約が必要となってしまう為数日後の診断となってしまうのです。医療費という問題に加え、アメリカの収入格差の問題そしてインフルエンザ流行の予測に失敗したという点も、インフルエンザ大流行の要因となっているように思います。

鉄(Fe)

酸素は、赤血球の中のヘモグロビンと結合する事によって全身へと運ばれています。ここで重要となっている成分が鉄です。また、この鉄は生体のエネルギー代謝に必要な金属でもあります。血液中の鉄、血清鉄とも言いますが、複雑なバランス機構によって制御されていて、一番多い異常は鉄の体外喪失による血清鉄低値になります。

若い女性を中心として鉄欠乏の有する人はとても多く、その結果鉄欠乏性貧血を起こす事があるのです。一方で、高齢者での鉄欠乏では消化管からの出血による場合があり、精査の過程で悪い病気が見つかるという事もあります。成長期や妊娠時は鉄需要が増える為、明らかな病気がなくとも血清鉄が低値なっているという事があります。

血清鉄を調べるという事によって、身体の鉄欠乏あるいは鉄過剰を推測する事が可能です。つまり、鉄代謝異常の診断に役立てられます。また、総鉄結合能・不飽和鉄結合能の測定により、その原因に関する情報も得られます。血中には鉄を運んでくれるトランスフェリンというタンパクが存在しています。

総鉄結合能は、このトランスフェリンと結合する鉄の量と考えて、よく「総鉄結合能=鉄+不飽和鉄結合能」となります。鉄と総鉄結合能の比率を飽和指数と言い、鉄欠乏性貧血の場合には低値に、鉄過剰症などでは高値になります。

血小板の数を算定する検査

手術など観血的な手技が必要な時も必ず事前に血小板の数を算定する検査をして調べます。異常出血があって血小板数の減少を認める場合は、緊急事態だと考えられます。

ただ、血小板が基準値を下回ってすぐに出血しやすくなるという事はなく、一般的には5万/μl以下になると出血しやすくなり、2万/μl以下になると危険であるとされています。一方、まれに生体内では血小板が正常に存在していて、出血症状は認めないのに検査では血小板数減少の結果になるという事があります。これは、検査のため試験管に入っている試薬により引き起こされる偽性血小板減少症がその代表となります。

このような場合には治療は不要です。血小板数が正常なのに血小板の機能が低下するという現象によって出血しやすくなるという事も。血小板が異常値の 場合にも、病気で隠れている事が多いので精査する必要があると言えるでしょう。

虫垂炎

小腸から大腸へと移行する部分付近に存在する虫垂が炎症を起こす病気を虫垂炎と言います。一般的には「盲腸」と呼ばれますので、こちらの方が馴染みがあるかもしれませんね。さて、虫垂は細く長い為に便が詰まりやすく、細菌感染も加わって膿む事で発症します。症状は発熱を伴い、急な腹痛と吐き気をもよおします。虫垂のある右の下腹部を押すと強く痛むというのが特徴的だと言えます。放っておくと、虫垂に孔があいてしまう事もあるため早めの手術が肝心です。軽症の際には、抗生剤の点滴だけで治癒出来ることもあります。ですが、一般的には開腹手術となります。 虫垂炎は年長児ほど発生しやすく、5歳以下は少ないとされます。特に2歳以下のお子さんに発症するというのはごく稀になります。

CRP値の検査

CRPが上昇する病気の場合、その結果を追跡する事で、病勢や治癒効果を知る事が出来ます。本検査は、治療後の判定にも用いられます。特に敗血症・肺炎などの重症感染症では非常に高い値になります。

治療が無事功を奏すると陰性化していきます。近年では、従来の方法で検出する事の出来なかった軽微なCRPの上昇が測定試薬の改善によって高感度CRPとして見つける事が可能となっています。

虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患の早期発見・治療後の経過観察に役立てようと研究が進められています。このように、CRP値が高値の場合、まずは原因を特定する事が大切です。

炎症主体の病気において、病勢や治療効果を反映するマーカーとしても本検査は有用です。本検査と同様の意義を持つ赤血球沈降速度検査は、貧血などの炎症とは無関係な要素からも数値が左右されてしまうのに引換え、本検査はそれがないというのが利点だと言えます。

声帯ポリープ

声帯に生じる炎症性の腫瘍を声帯ポリープです。声を出し過ぎたり炎症が起きたりして声帯を刺激してしまうのが原因とされてます。ですので、職業的に声を酷使するアナウンサー・声優・歌手等に多く見られる病気だと思います。

声を酷使すると声帯の両側に対称的に出来る場合を「声帯結節」と言います。喫煙等の慢性的な刺激によって声帯全体が腫れた状態は「ポリープ様声帯」と呼ばれます。症状としては、声帯の振動が障害される事になる為、嗄声(かすれ声)が生じます。極端に病変部が大きくなると、呼吸困難に陥る可能性もあります。

主な検査としては、喉頭内視鏡検査・喉頭ストロボコピー・音声機能検査などがあり、切除組織の病理診断によって確定診断を行います。治療では、まず声の安静を保つ必要があります。消炎剤の内服やステロイドの吸入などを行います。声帯結節等では声の酷使や悪習慣を避ける事によって病変部が縮小する場合や消失するという場合もあります。

保存的な治療で病変部が小さくならず、かすれ声が気になるという場合には外科的に切除するという選択もあります。簡単な物は内視鏡を用いて外来での切除も可能ですが、一般的には全身麻酔を行った上で、顕微鏡を用いた内視鏡手術になります。