脳ドック

脳ドックとはどのような方を対象として勧めているのかというと、①中高齢者②脳卒中の危険因子を持っている方(家族歴・高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満・喫煙者など)である。
今や頭部CT検査のみの脳ドックでは時代遅れと言っても過言ではない。医療面接・神経学的診察・聴診・一般末梢血検査・頭部MRI・MRA・頸部超音波検査などなど、様々な脳検査を広く調べることがベターである。また、施設によっては、脳血流検査を用いるところもあるようだ。
さて、人間ドック健診とは多くの方が「自分の脳は健康であってほしい」という思いの元、施設を訪れる。この事を念頭に置き、受診者を執拗に心配させてしまうような指導をするのは好ましくない。脳ドックとは、発症予防などを行うあくまでリスクマネジメントがメインであることを受診者に理解していただく必要がある。また、報告書を作成し、セカンドオピニオンの要望あるいは受診者自身が希望される他院への受診に対しても、積極的に情報提供などを行うことが大切である。

緑内障

緑内障は、糖尿病網膜症と並んで視覚障害の大きな原因となる病気です。視神経乳頭に萎縮や陥凹が起こる事によって、視野異常が進行して視力低下をきたしてしまいます。

眼圧を下降させる事によって進行を抑える事が可能となります。この緑内障には、開放隅角緑内障と閉塞緑内障が存在します。また他にも、原因の無い原発緑内障・他の疾患等によって引き起こされる続発緑内障があります。今回は開放隅角緑内障と閉塞緑内障の症状や経過・予後・治療についてご紹介しようと思います。まずはどのような症状が現れてくるのかを見ていきましょう。

開放隅角緑内障の場合だと、実が症状なしに進行していってしまいます。そして、病気がかなり進行してからようやく自覚症状が現れます。ですので、早期発見の為には人間ドックなどの定期的な検診が重要になってくると言えます。

尿検査の結果を生かすには

本検査においての検査項目は、具体的には尿たんぱく・尿糖・尿潜血・尿PH・尿ビリルビン・ウロビリノーゲン・ケトン体亜硝酸塩・白血球反応などである。これらの検査値から異常が検出された場合には、まずもって原因追及を行うことが先決だといえるだろう。そのために、血液検査・画像検査を行う事で異常が起きている臓器は何であるか・何が起きているのかを診断する必要がある。
疾病の早期発見・早期治療と健康維持。生活の質を高めていくことを根本の目的と考えれば、人間ドック検査で尿検査を行うことは大変有意義であると考える。腎をはじめ多くの臓器の機能・病気に対し検査を広く行う尿検査であるが、異常値が検出しても特定の疾病を尿検査だけで診断確定できるという訳ではない。あくまで一つの判断材料である為、尿検査の結果だけでは証拠不十分なのである。従って、少しの異常も放置するのはよろしくない。再検査・精密検査にきちんとつなげることが大切である。

心臓ドック

心臓ドックは、一般の健診では発見することが難しい虚血性心疾患や弁膜症・心筋症・不整脈などをより正確に診断することが最大の目的であり、治療や日常生活を改善する為により明確で具体的な指標・アドバイスを提供するのである。一般的な健康診断では、血圧・心拍・心電図などを用いて、安静時の評価を行うのが基本である。
我々人間というのは睡眠時を除いて常時活動しており、血圧や心拍数・心電図で測定するとダイナミックに変化していることが分かる。保健指導においても、積極的な身体活動の取り組みを促していることも多く、運動を始めてみようとしている受診者や、すでに自発的に運動に取り組んでいる受診者に対して安全で尚且つ効果的なその人に合った運動の目安を提供してあげることが大切である。このように運動を行っても良いとされるのは、基本的に生活習慣病の進行が中程度以下であり・心血管病でない受診者であるのだが、実際のところは散歩やウォーキング・軽い運動・マラソン・球技等すべて受診者の自己責任・自己管理なのである。無症状で不整脈や虚血性心疾患を合併する可能性があり、中高年者の運動中に起こった突然死などはこれらの心血管病が潜んでいたと考える必要がありそうだ。
従って、自分自身や一般的な人間ドック健診では気づけない心血管病を早期発見する為にも、心臓ドックとは意義あるものだと思われる。

生活習慣病への対策

がんや糖尿病、脳卒中などの病気は、かつて「成人病」という名で呼ばれ、人々の命をも奪いかねない重大疾病であった。その為、早期発見・早期治療を目的として健診・人間ドックの制度・ガイドラインが整備されてきたのである。これらの「成人病」を発症する原因と言えば、日頃の喫煙・飲酒・ストレス・肥満・高血圧・高血糖・脂質異常などが挙げられる。このことから、厚生労働省は平成8年より「生活習慣病」と総称を改め、「生活習慣に起因し、そしてその改善によって予防することが出来る病気」という認識を改めて明確にしたのである。そこから健康志向は年々高まっていき、壮年期死亡の減少・健康寿命の延伸・生活習慣の質を向上させる等を目標に掲げ、平成12年には国レベル・都道府県レベル・市町村レベルと様々な段階で具体的な目標設定とその評価の仕組みを導入するに至った。その後の中間評価では、肥満者の増加・糖尿病をはじめとする生活習慣病の有病者数・合併症罹患者数の勢いを食い止められないという現状を受け、特定保健導入制度を導入することとなったのだ。
さて、現在日本では健康日本21という健康増進法が掲げられており、「すべての 国民がともに支え合い、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現」を目指しており、これが平成34年度までの基本方針としている。また、「平均寿命のもう過分を上回る健康の増加」と「健康寿命の都道府県格差の縮小」を本対策の最終課題として個々人に対する生活習慣の改善を呼びかけ・ 加えて健康づくりに取り組みやすい環境を整えていくことも大変重要となってくるだろう。なおこの健康日本21における脳血管疾患及び虚血性疾患の年次推移は平成22年から今日に至るまで年齢調整死亡率の低下が報告されている。

骨ドックの意義と検査項目について

骨量の減少・骨質の劣化などによって骨強度が低下することで起きる骨粗鬆症性骨折(脆弱性骨折)。これは、大腿骨付近の骨折のみに留まらず、椎体骨折においても著名なADL・QOLの低下を招き、加えて死亡リスクも上昇させてしまうのだ。従って、骨折予防に努め、骨格の健康とQOLの維持・改善していくことが重要となってくる。
本検査の骨ドックは、骨粗鬆症とその予備群を発見することが第一の目的である。そして、予備群に対しては食事改善や運動指導を行い、骨粗鬆症であるならば早期介入を検討する必要がある。
日本国内で行われている骨粗鬆症検査は、医療面接とスクリーニング検査を目的とする骨量の測定である。この検査結果より、骨量性測定値が90%以上で危険因子がなければ「異常なし」・80~90%若しくは90%以上で危険因子がある場合は「要指導」・80%未満の場合は「要精検」と振り分けられる。この骨粗鬆症検査では、一般住民を対象として行われる為、測定器は安価であること・測定を行うにあたり特殊な施設を必要としない・被験者が放射線の被ばくをうけない事、これらをクリアしたものが望ましく、現在はQUS(定量的腸音波測定法)が汎用されている。

甲状腺関連自己抗体について

甲状腺の病気というのは、甲状腺に特異的な抗原と反応する自己抗体が検出されることがあるそうです。
抗サイログロブリン抗体は、甲状腺中の「ろほう」という構造内のコロイド成分であるサイログロブリンと反応する自己抗体だそうです。
抗マイクロゾーム抗体は、甲状腺のマイクロゾームという分画の酵素に対する抗体であることがあきらかになるそうです。
これを現在では、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体と呼ぶようになっているそうです。
これらの抗体の測定は、バセドウ病、橋本病などの自己免疫がかかわる甲状腺の病気の診断に重要だそうです。
バセドウ病の甲状腺の機能が亢進して、橋本病は徐々に甲状腺機能が低下していく病気だそうです。
抗サイログロブリン抗体の基準値は、28IU/ml未満だそうです。
基準値をはずれたときは、高値の場合は、バセドウ病、橋本病、甲状腺腫、膠原病などだそうです。
抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の基準値は、16IU/ml未満だそうです。これも高値だと、バセドウ病、橋本病、甲状腺腫、膠原病などだそうです。
甲状腺は、脳下垂体で産生される甲状腺刺激ホルモン(TSH)の刺激により、甲状腺ホルモンを産生・放出するそうです。
甲状腺にはこのTSHに対する受容体があるそうです。それでTSHの刺激を伝えるそうです。
TSH受容体に対する自己抗体が自己免疫性甲状腺疾患において認められるそうです。
この抗体を検出する方法としてTSHとTSH受容体との結合を物理的に阻害する免疫グロブリンを検出する方法と、甲状腺を刺激する自己抗体を機能の面から検出する方法とがあるそうです。
甲状腺を刺激する自己抗体を機能の面から検出する方法は、バセドウ病の診断にとても有用だそうです。
抗甲状腺刺激ホルモン受容体抗体の基準値は結合阻害率10%以下だそうです。

プロトロンビン時間について

からだに備わっている止血機構のうち、血液凝固タンパク質が重要な役割を果たす二次止血の機能をみる検査だそうです。
出血すると、肝臓でつくられるプロトロンビンがトロンビンに変わるそうです。
このトロンビンが血液中のフィブリノゲンを不溶性のフィブリンに変えて血液を凝固させるそうです。
血液凝固反応は外因系と内因系という2つの経路に分けられるそうです。
プロトロンビン時間は、外因系の凝固能を見る検査だそうです。
被検者の血漿検体に組織因子などの凝固の引き金になる物質を加えて、凝固時間を測定するそうです。
結果の表記の仕方には、凝固時間やINR,プロトロンビン比、プロトロンビン活性などの方法があるそうです。
凝固能が低下すると凝固するまでの時間が延長して異常と判断するそうです。
プロトロンビン時間は活性化部分のトロンボプラスチン時間と合わせて、凝固能のスクリーニング検査として多く利用されているそうです。
まず、出血症状があるときにおこなわれるそうです。ほとんど凝固タンパク質は肝臓でつくられるため、肝臓のタンパク質の産生能力をみるためにも測定されるそうです。
さらに、血栓ができるのを防ぐために抗凝固薬という血を固まりにくくする薬を使用することがあるそうです。
そのためのモニタリングを目的に検査をすることもあるそうです。
その代表がワルファリンという薬だそうです。
異常値のときは、まずその原因を追求する必要があるそうです。
ワルファリンの服用量の調整のための検査では、基準範囲内だと薬がきいてないことになるそうです。
食べ物の注意などを含めて、主治医の指示に従う必要があるそうです。
プロトロンビン時間の基準値として、凝固時間は10〜13秒、INR0.9〜1.1だそうです。
プロトロンビン比が0.85〜1.15だそうです。

尿素窒素

本検査は、腎臓の機能が正常かどうかを検査するものです。まずは尿素窒素ってどんなものなのかお話ししようと思います。食事中のタンパク質や身体の筋肉等のタンパク質が代謝されると、アンモニアになります。このアンモニアは生体にとって有害なため、主に肝臓で代謝され、は 尿素に作り替えられます。血液中の尿素に含まれる窒素の量が尿素窒素になります。言ってみれば、体内でエネルギーとして使われたタンパク質の代謝産物の量だと言えます。通常、尿素窒素は腎臓でろ過されて尿中にに排出されますが、急性・慢性の腎不全なので腎臓の働きが低下してしまうと、ろ過しきれない分が血液中に残ってしまう事になり、尿素窒素の値が高くなるのです。また、タンパク質の摂り過ぎや大量の消化管出血、火傷・外科手術・甲状腺機能亢進症・悪性腫瘍など組織タンパクの分解が亢進している場合、脱水などで体液量が減少している場合にも、尿素窒素は上昇します。尿素窒素と同じく腎臓の排泄機能の指標となるクレアチニンに比べて尿素窒素の値が非常に高い場合には、体液量の異常・組織の崩壊・消化管出血など代謝異常が疑われます。逆に尿素窒素が低い場合、タンパク質の摂取不足が考えられます。また胎児の成長にも窒素が使われますので、妊娠中も尿素窒素は低くなる傾向にあります。その他、尿素のほとんどすべてを作っている肝臓の働きが悪い場合、つまり重症肝障害・肝不全などでも値は低くなります。とはいえ、疾患の有無だけでなく年齢・性別によっても尿素窒素の値は変わってきます。一般的には男性の方が高値なようです。女性は、加齢とともに上昇するのに対して、男性では60歳以上で上昇し始めます。基準値は8~20mg/dlになるます。

フィブラート系薬の違い

「ω‐3脂肪酸」は通常1日 1回で服用するため、1日2~3回服用する必要がある「イコサペント酸」と比べて服用に手間がかからないという利点があります。「ω‐3脂肪酸」や「イコサペント酸」は食後10分内に飲まなければほとんど体内に吸収されないため、飲み忘れのリスクが高い薬です。「ω‐3脂肪酸」は、1日1 回の服用で良いため、比較的ゆっくりと食事ができる夕食後に薬を飲むようにすると、飲み忘れのリスクを下げることができ、忙しい人にとっても使い勝手の良い薬だと言えます。

また、「ω‐3脂肪酸」や「イコサペント酸」は抗血小板作用があるため、出血しやすくなるという副作用があります。そのため、薬の量を増やすには注意が必要ですが、「ω‐3脂肪酸」は通常の2倍量まで、「イコサペント酸」は通常の1.5倍まで増量することが可能です。特に「ω‐3脂肪酸」は通常の2倍量で使っても副作用は増えないことが知られているため、「ω‐3脂肪酸」はより薬の量を増やしやすい薬であると言えます。

「ω‐3脂肪酸」は外国で開発された薬ですが、「イコサペント酸」は日本で開発された薬です。どちらも高脂血症(脂質代謝異常)の治療に効果がありますが、「イコサペント酸」は日本人を対象にした臨床試験のデータが豊富にあります。また、薬の効果は生活習慣や食事、遺伝子など様々な要因で変化することがあるため、日本人の臨床試験データが豊富な「イコサペント酸」はより日本人の治療に適した薬であると言えるでしょう。

先述のように、「ω‐3脂肪酸」や「イコサペント酸」は食後10分以内に飲まなければ、ほぼ効果が得られません。そのため、これらの薬が処方された際には、薬剤師によって、服用のタイミングを逃さないように十分注意喚起される必要があります。仕事などで外食が多い人は1回分の薬を財布に入れて持ち歩くなどして、急な外食の際でも薬を食直後に飲めるよう準備しておくことが必要です。このことも、薬剤師は合わせて患者さんに伝える必要があるでしょう。